退職給付信託の背景とは?

退職給付信託の背景とは?

まず退職給付信託が設定された背景を見てみましょう。 バブル崩壊後、株式の下落による運用の悪化が続き、企業年金などで予定利率を下回る事態が続きました。2000年には「退職給付に係る会計基準」が導入されますが、これにより企業年金や退職金が退職給付債務という形で認識されるようになりました。

退職給付信託は有価証券などを年金・一時金などの支払に限定して設定すれば年金資金と見なされます。このことに注目した企業が退職給付信託の設定を始めました。一方では持ち合い株式の解消による株価の下落の問題もありました。
退職給付信託では株式の名義は信託銀行に移しつつ議決権は企業に保留することが可能です。こうした特徴を生かすものとして持ち合い株式を保有しつつ、円満に解消する対応策として退職給付信託が活用されたのです。

退職給付信託とは、企業が保有する主に持ち合い株式などを、従業員の退職金の支払や年金の掛金などの退職金給付を目的にとして信託銀行などに拠出して設定される信託のことです。これにより企業が拠出した株式などの有価証券は、退職給付会計上では企業年金資産とみなすことができ、よって年金の積立て不足解消の有効な方法として最近では多くの企業が取り入れつつあります。

退職給付信託には、
●目的が退職給付に限定されることや退職金規程に盛り込まれていること。
●当該する企業から分離され返還されることが禁止されていることなどが、条件に含まれています。

また、退職給付信託に拠出した後でも企業はその株式の議決権を行使したり、処分についての指示をすることができます。搬出に際しては当該株式を一度時価評価し直すため、時価が取得価額を上回る場合は差額を当期の特別利益として計上することもできます。しかし簿価を下回っている場合には信託設定損が発生してしまいます。


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